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モラトリアム法終了で、倒産は急増するか 苦境続く中小企業 金融円滑化法の功罪

報道によると、 東京にある金属加工メーカーA社の経営者は3月中旬、取引のある金融機関5行を訪ね歩いた。

3月末の中小企業金融円滑化法終了後の対応策を協議するためだ。

創業60年超、従業員約40名を抱えるA社は東日本大震災後に売り上げが激減、債務超過に陥った。円滑化法に基づき、取引銀行に元金の返済猶予(リスケジュール)を申請した。リスケは半年ごと計4回に及ぶ。

円滑化法の終了で、約定どおりの返済を求められれば資金繰りに窮する──そんな不安があった。が、金融機関の対応は意外なものだった。「1円でも元金を返済いただければ、それで結構です」。取引行5行が足並みをそろえ、約定の1割弱の返済を行っていくことで合意した。

「少し拍子抜けしたぐらい。でも、厳しい状況には変わりない。これからが大変だ」。経営者はそう気を引き締める。
■行政指導で実質延長

リーマンショックで苦境にある中小企業の救済を目的に、円滑化法が施行されたのは2009年12月。中小企業から申し出があった場合、金融機関は金利減免やリスケなど貸し付け条件を変更する努力を求められる。いわゆるモラトリアム法だ。

効果は絶大だった。円滑化法施行以降、企業の倒産件数は総じて低く抑えられている(図)。特に昨年11月以降の倒産件数は月1000件を下回る。

企業倒産の動向に詳しい東京商工リサーチの友田信男・取締役情報本部長は「月1000件割れは、日本の経済規模から見て異常な数字。倒産は人為的に抑制されてきた」と指摘する。円滑化法によって、多数の中小企業が倒産を回避できたのは間違いない。反面、問題の先送りでしかないという批判も根強い。

その円滑化法が2度の延長を経て、今年3月末で終了する。反動による倒産急増が懸念されていたが、融資の現場はおおむね平穏を保っている。政府が、実質延長ともいえる対応策を打ち出したからだ。

金融庁は金融機関に対し、4月以降も中小企業からの申し出があれば、融資条件の変更に応じるよう要請、引き続き定期報告も求める。2月には全国の財務局に中小企業向けの相談窓口を設置、個別の要望にも対応する態勢を整えた。

倒産回避を狙った行政指導の強化は、一定の効果を上げている。

首都圏で運輸業を営むB社は、期限の到来した借入金の返済に苦慮していた。金融機関からの提案によって、3月中に同額を借り換えることができた。「貸し剥がしのような動きはなく、金融機関のスタンスに変化は感じなかった」(財務担当者)。

とはいえ、これで問題が解決したわけではない。多くの中小企業の経営は依然として苦しいままだ。

1990年代後半から2000年前半にかけての銀行の不良債権処理問題は大企業中心、かつバランスシートと経常利益の問題だった。つまり、借入金さえ整理すれば事業継続のメドがついたケースが大半だった。だが、足元の中小企業が直面するのは、本業そのもの=営業利益が細っていくという問題である。

中小企業の本業立て直しで、各金融機関が期待をかけているのが再生ファンドの活用だ。

■ファンドで再生狙う

独立系金融コンサルティング会社のリサ・パートナーズは、地銀などとの提携で設立した再生ファンドが38に及ぶ。ファンド活用実績はまだ少ないが、今年に入って提携する地銀からの案件持ち込み相談が増えているという。

3月18日には、政府が地域経済活性化支援機構を設立した。同機構では中小企業の直接支援のほか、再生ファンドへの専門家の派遣や出資を行い、地域経済の底上げを狙う。

ただ、再生ファンドにどこまで実効性が伴うかは定かではない。中小企業のM&A仲介を手掛ける日本M&Aセンターでは、持ち込まれる再生案件のうち、「すでに手遅れなケースが2割はある」(鈴木安夫・金融法人部長)。

円安や公共投資の増加によって、景気回復の期待は高まっている。しかし、中小企業にとっては、資金繰りの確保という難題が降りかかる。円滑化の実質延長で返済猶予は受けられても、銀行から新たな資金を借りることは難しい。一般的に中小企業の資金繰りは支払いが先行する。東京商工リサーチの友田本部長は「倒産は不況期ではなく、景気回復局面で最も増える」と警鐘を鳴らす。

そうなると7月の参議院選挙が終わり、公共投資が本格化する今秋以降が、最初のヤマ場となりそうだ。

水面下で金融機関は倒産拡大への備えを着々と進めている。ある有力地銀では11年度から円滑化法を利用する企業に対する貸倒引当金を厚めに取ってきたが、3月末にはさらに引当金を増やす。同行の財務担当者は「当局の審査姿勢は変わらないとはいっても、健全性維持の要請も強い。備えられるときに備えておきたいのが本音」と語る。

こうした備えができるのは体力のある金融機関だけだ。円滑化法の利用企業に対する融資比率は大手行より地銀、地銀より信用金庫・信用組合が大きい。倒産が増加すれば、体力に劣る信金や信組がより影響を受ける。

中小企業の経営実態に詳しい、辻・本郷税理士法人の本郷孔洋理事長は「中小企業の再生には経営者の資質とスピードが大事。しかし、円滑化法の3年間で、経営者は確実に年を取った」と嘆く。一方、3年間で、金融機関の本来の「目利き」能力は衰えた可能性がある。

中小企業、金融機関の双方に心地よかった円滑化法。その功罪が判明するのはそう遠くない。

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