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深刻でも笑ってもらう 文学の道化を目指して 広小路尚祈さん

報道によると、  もさもさのひげ。肩の下まで伸びる長髪。太い腕っぷし。それにまして力強い目線が印象的なこの男性は、作家の広小路尚祈(ひろこうじなおき)さん(40)。物書きと聞けばつい想像しがちな「色白の細面、華奢(きゃしゃ)で少し体が弱くて」といった往年の文学青年のイメージからは、大きくかけ離れた迫力ある風貌だ。

 

その経歴がまた変わっている。二〇一〇年、初めて芥川賞の候補になった折、主催者発表の略歴はこんなふうだった。数行で終わる候補者もいる中で、この人のは抜群に長いから、三つに分けて紹介しよう。

 略歴その一。高校卒業後、ホテル従業員、清涼飲料水メーカーのルートセールス、清掃作業員、建築板金工事作業員、タクシー運転手、設備工事作業員などの職を転々としながらいくつかのバンドを渡り歩き、名古屋のライブハウスを中心に音楽活動を続ける-。

 「ぼくはずっとロックをやっていたんですが、人に『文学を読んでる』なんて言えなかったですね。深刻ぶってイタい奴(やつ)なんじゃないのって見られそうで」

 愛知県岡崎市の自宅から少し離れた行きつけの喫茶店。広小路さんが豊かな低音で語り、笑う。作家の中には、会話にも作品にも難しい理論や用語を持ち出す人がいるが、この人は違う。相手を退屈させない話しぶりと同じく、その作品は「読みやすい」と定評がある。いろんな世界を見てきた人だからかと考えるが、それだけではない。

 「文学マニアではない人が読んでもつまずくことがないよう、平易だが個性的なものを書きたいんですよ。サラリーマンが電車で本を開き、主婦が家事の合間にページを追う。生きる糧とまではいかないが、生きるための調味料みたいな感じ。それもまたすばらしい読書だと思いますから」

 純文学にとって、読みやすいという評が決して賛辞ではない中で、少し違う方向を見ている人なのだ。

 続いて略歴その二。一九九八年に結婚、二〇〇〇年長男誕生。それをきっかけに音楽活動から引退し、不動産会社に就職するも、業績不振による給与未払いが続き退職。事業者向けの小口金融会社に就職するも二年足らずでリストラ-。

 「問題提起なんて大げさなことは考えませんが、政治や経済界のエリートで世の中を動かす人間に翻弄(ほんろう)され、嫌な目に遭っている市井の人がたくさんいます。そういう人の問題を、深刻ぶらずに書いていきたい。エリートがそれをどう読むかは本人の資質次第ですが、市井の人たちが読んで『なんじゃこりゃ』『広小路というのはアホやな』と苦笑され、失笑してもらったら、それでいいんですよ。文学って、そういう効能があると思いますから」

 それを自ら実感したのが中学生のころ。「おれなんかダメじゃないのか」という青春期の惑いに打ちのめされていたとき、太宰治の小説を読んで、登場人物の見事なまでのダメっぷりに「こんな奴がいるのか」と安心したのだった。

 「まじめに毎日生きている人が、自分の人生を逆に肯定できるような、道化の役割が文学にはある。こんなバカな生き方はいやだと思われるのなら、それはそれで文学の一つの力でしょう。ぼくはそういう立場を目指したい。今はそっちの役割が薄れて、文学が何だか偉くなっちゃった。だからみんな文学から離れてしまっているのかな」

 さて、略歴その三。その後、消費者金融会社に転職するも、転勤先の上司とそりがあわず逃亡。求職活動を続けたがうまくゆかず、読書漬けの生活を送るうち小説を書こうと思い立ち、新人賞に応募を始める-。

 書き下ろしの最新作『金貸しから物書きまで』(中央公論新社)は、この時期の体験が題材の半自伝だ。法のグレーゾーンぎりぎりをゆく消費者金融の社員の実生活が活写される。

 会社では、自分は「仮死状態」なのだと言い聞かせて良心を封印し、むちゃな貸し付け・回収を迫る上司や、返済を逃れたい客とえげつなくせめぎ合う。日々吐き気を催しつつ、愛する家族との生活のために働くが、その結果は「消費者金融の被害者」を生み出すだけ-と書けば、往年のプロレタリア文学に似た暗澹(あんたん)たる告発小説のようだが、ページをめくるごとに笑わせるのがこの人の手腕だ。

 「そのあたりが、伝統的で深刻な文学と比べてぼくの作品が足りないところかもしれないですし、逆にそののんきさがぼくのオリジナリティーなのかなあと。こういう文学があってもいいと思うんですけどね」

 〇七年に「だだだな町、ぐぐぐなおれ」でデビューして五年。あちこち回り道をして自分の進路を見つけた偉丈夫は、おおらかに笑うのだった。

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