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【激震・貸金業法】完全施行までのハードル(1)貸し渋り 零細企業“窒息”

フジ産経ビジネスアイによると
「無担保、無保証で300万円を今すぐ貸してくれ。金利はいくらでも払う。担保は私自身だ」-。
元記事

==以下引用==
東京・神田の雑居ビルに事務所を構える事業者金融業者。ここには不況が深刻化した昨秋以後、資金繰りに行き詰まった企業経営者から切羽詰まった問い合わせが殺到している。

 その多くは電子・自動車部品などの製造業者や建築・建設などの下請け業者で、零細企業が目立つ。問い合わせは関東全域に及ぶ。銀行や信用金庫、信用組合から融資を断られ、インターネットでこの金融業者を探し当て、必死の思いで新規融資の依頼に来るのだ。

 だが、実際に融資を受けられるのは、その5分の1程度でしかない。この金融業者の融資には、連帯保証人か売掛債権の担保が必要。そうしないとリスクが高く、来年6月に完全施行される貸金業法の上限金利規制に対応できないからだ。「かつては無担保・無保証、金利40~50%台の商売が可能だったがもう無理。うちに断られて『ヤミ金』にいったり、倒産した企業もある」。金融業者の幹部はこう言って、ため息をついた。

 ≪政治主導で成立≫

 消費者金融などによる過剰な取り立てが社会問題化したことを受け、悪質な業者を排除して多重債務者を減らす目的で誕生したのが貸金業法だ。2006年末に旧貸金業規制法を改正して成立したが、そのきっかけは同年1月の最高裁判決だった。

 貸金業の上限金利は段階的に引き下げられてきたが、出資法と利息制限法という2つの法律が併存していたことが問題だった。出資法では上限金利を年利29.2%としているのに対し、利息制限法では年利10~15%が上限。このため、多くの業者はその間の「グレーゾーン金利」を使っていたが、それを無効とする判決が出されたのだ。背景には、貸金業界への根強い不信感があったとされる。

 この判決を受け、金融庁は一気に規制強化にかじを切る。上限金利の引き下げと業者の参入規制だ。同年4月には取り立てが過酷とされた大手消費者金融に業務停止処分を出す。「消費者金融=悪」という世論が定着、与野党ともに「有権者にアピールする絶好の機会」ととらえ法改正は政治主導で進んだ。

 一方で金融庁内には「このまま法改正が進めば、将来、零細企業への貸し渋りを招く」との懸念もくすぶっていた。だが、政治に押し切られる形で、内々に検討されていた少額・短期の融資に例外的に高金利を認めるなどの「激変緩和措置」は見送られ、同年12月に法案は全会一致で可決、成立した。

 ≪登録業者が激減≫

 金融庁の懸念は的中した。むしろ現在の経済環境は当時の予想より悪化しており、多くの貸金業者が資金調達に窮し、融資は絞り込まれるばかりだ。貸金業法の完全施行に備え、業者が金利を引き下げ、審査を厳格化していることが、企業の資金繰りの悪化に輪をかけている。

 一方でグレーゾーン金利を否定した06年1月の最高裁判決に基づき、払い過ぎた利息を過去にさかのぼって払い戻す「過払い利息」の返還請求も急増し、業者の重荷になっている。急速に統廃合が進んでおり、登録業者数は06年3月の約1万4000社から、09年5月には約5700社まで減った。さらに貸金業法の完全施行で参入規制がかかれば、「3000社程度になる」と日本貸金業協会は予測する。

 ≪「弱者救済」の道は≫

 業者が融資を絞った結果、借りられなくなった個人や零細事業者も増えた。銀行や信金、信組の融資が受けられず、事業者金融のほか、個人で消費者金融から借りた資金を事業に回すことも多かったというが、いまはどちらも思うようにいかない。

 統廃合された業者は、無許可で高金利を取る「ヤミ金」に衣替えし、借りられなくなった個人や中小・零細事業者が駆け込んでいるとされる。ヤミ金に頼るのは中小・零細事業者ばかりではない。貸金業問題に詳しい東京情報大の堂下浩准教授は「生活苦から教育費や医療費を借りにいく個人も増えた」と指摘、新たな社会問題となることを懸念している。(藤沢志穂子)

                   ◇

 景気回復の兆しはごく一部の大企業に限られ、その末端にある零細事業者にはいまだ「逆風」が吹く。来年6月の貸金業法の完全施行の先送りや見直しを要望する声は、業界のみならず政治サイドからも聞かれるようになった。金融庁は予定通り施行する方針を変えていないが、弱者の「セーフティーネット」はどうなるのか。激震が続く貸金業の現場を歩いた。

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